読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Concert Etude op.2

制服系ちゅーば吹きbeardのブログ

CDレビュー〜近・現代音楽のススメ4〜

Pshwelzi 伊福部先生の曲を紹介.

伊福部昭管弦楽選集
指揮:芥川也寸志
演奏:新交響楽団


日本人ならおそらく誰もが心に響く曲…シンフォニア・タプカーラはそういう曲です。静かに流れる旋律、怒涛のようなリズム、そのどれもが自分の中の生理と共感して止みません。

伊福部昭は北海道に生まれ、林業を専攻していた方でしたが音楽にも多大な興味を持っていて、独学で作曲を学び、アレクサンドル・チェレプニン主催の作曲コンクールに日本狂詩曲を応募したところ、「誰だこの田舎臭い曲を書いたのは」といって日本の審査員に馬鹿にされたその曲はなんと一位入選し、本格的に作曲を学び始めた…
非常に駆け足ですが彼の経歴です。詳しく知りたい方はこちらでどうぞ。
日本の作曲界に偉大な貢献をされた方で、特に著書「管絃樂法」は作曲家なら一度は枕するというほどの名著です。(なのに今絶版…)

シンフォニア・タプカーラは彼の生涯で映画音楽を除けば最も有名になった作品です。大津シンフォニックバンドが全国大会で三楽章を演奏していたのも記憶に新しいですね。

彼の作風の一面(そしてもっとも顕著な一面)は、ゴジラのテーマ曲やブーレスク風ロンド、タプカーラの三楽章を聞けばすぐに把握できます。それは舞踏の色濃い土俗的なアレグロのオスティナート(反復)です。
伊福部の書く曲はいずれもそういった本質を持ち合わせていることが多いようです。野性味あふれるリズムは、すぐに聞くものを虜にする力があります。むろんそれだけではなく、情緒溢れる旋律にもぐっとくるものがあります。
もっとも、ライフワークの一つであった筝のための曲などは未聴のため、氏の作風全てを把握しているわけではありませんが…。

「タプカーラ」とは、アイヌ語で「立って踊る」という意味なんだそうで、その意味ではまさに「舞踏交響曲」と訳せます。彼の代表作ですので、ぜひ一度聴いてみてください。
このCDには他に兄の死に際して書いた「交響譚詩」、ヴァイオリンをとことん民族的に突き詰めた「ヴァイオリン協奏曲第二番」(ソリストは友人で被献呈者の小林武史)が収められています。
演奏は伊福部の弟子にしてあの芥川龍之介の三男、芥川也寸志が音楽監督を勤めたアマチュアオーケストラです。
アマオケのライブ録音なので当然ミスはたくさんありますし、縦の線の乱れはしょっちゅう、ピッチが不揃いなところも山ほどあります。
それでも、この演奏には熱い思いというか、心があります。
決して駄演ではないです。
本当はこの曲、もう少しいろんな演奏を聴いてから紹介したかったのですが、先生が亡くなった今、このタイミングで記事を書きたかったのでこのCDで書くことに踏み切ったのです。少なくとも最近出たNAXOS盤よりは聴くに値する演奏だと思っています。
完成度を求める方は広上/日フィルあたりの演奏がいいかも知れませんね。僕は聴いてないのでなんとも言えません(笑)。

これから追悼企画としてどこかのオケがタプカーラ演奏しないですかね?是非聴きに行きたいです。
作曲家は、その作品が忘れ去られるまで本当の意味では死にません。彼の作品が聴き継がれることを切に願います。