Concert Etude op.2

制服系ちゅーば吹きbeardのブログ

吹奏楽やった曲レビュー(2)

新年度ですね。と言うには少し遅いかな?
最近また色々と考えるところがあって、近々まとめて書きたいなと思いますが、今回は吹奏楽やった曲レビューシリーズ。


レ・ミゼラブル / arr.マルセル・ペーテルス
LES MISERABLES / arr.Marcel Peeters, Molenaar Edition

映画が超のつく大ヒットを記録した、不朽の名作ミュージカルのメドレーです。
この手のメドレーは出来不出来が結構激しくて、残念なやつにあたるとがっくりくることもあります。僕が演奏したやつが、わりといい感じだったのでご紹介。
開始は序曲(囚人の歌)っぽくはじまりますが、一応収録曲としては1日の終わり、夢やぶれて、幼いコゼット(雲の上の城)、宿屋の主の歌、共に飲もう、民衆の歌となっています。
オン・マイ・オウンが入っていないのが残念な限りですが、その気になれば別アレンジを勝手に挿入するのも手かも?(笑)
演奏した際、レミゼは好きすぎて、夢やぶれてや民衆の歌では感情移入しまくりでした。(ミュージカル二回、映画二回見ています(笑))

このメドレーは11~12分なのですが、ヨハン・デ・メイあたりが20分ぐらいの尺で交響組曲レ・ミゼラブルとか書かないかな(笑)
十分聞かせられる内容あると思うんですけどねー。著作権とかの絡みなんですかね。


・ジャパニーズ・グラフィティ17 美空ひばりメドレー / arr. 星出尚志

今更紹介するべきかは微妙なのですが、この企画の趣旨は有名無名新旧問わず、なので挙げてみました。
なにせジャパグラは数が多くて、その全てをちゃんと聞いて把握している人はそんなに多くないと思います。かく言ふわたくしもどれがどれだか全然覚えていません(笑)。これは2012年に出たやつですね。
さて、このメドレーは、愛燦燦、リンゴ追分、お祭りマンボ、川の流れのように、の有名な四曲で構成されており、星出尚志氏の効果的かつ新鮮なアレンジでとてもいい感じです。
ニューサウンズのアレンジは、原曲通りでないから嫌だという声も一部ではあるようですが、これくらい有名な曲ならそれもまた一興でしょう。
演奏会のポップスステージに、老人ホームの慰問演奏に、幅広く使えて取り組みがいもある楽譜だと思います。


・クレツマー・クラシックス / ヨハン・デ・メイ
Klezmer Classics / Johan de Meij, Amstel Music

ヨハン・デ・メイという名前で思い出す曲は何でしょう?指輪物語などの長大な交響曲?エクストリーム・メイク・オーヴァーなどの鮮烈な作品?それとも、効果的な(時に効果的すぎてやかましい)アレンジ群でしょうか。
いずれにしても、やたらと壮大で、奏者に対する要求が高く、派手派手しいオーケストレーションのイメージが強いと思います。チューバ吹きとしては、出来れば遠慮願いたいタイプの作曲家です(笑)。

そんなヨハン・デ・メイ作品の中でも、少し毛色の違うのが、このクレツマー・クラシックスです。
知名度はそれほど高くないのでは、と思いますが、なかなかどうして面白い曲です。
大阪市音楽団が8年前に日本初演を行い、CD化もされています。
クレツマー(クレズマー)というのは東ヨーロッパのユダヤ系音楽の事で、そこから題材を得てメドレーにした作品です。
雑な言い方としては、ファンファーレ・チョカリーアとか、タラフ・デ・ハイドゥックスみたいな音楽です。それもわかりにくいかな(笑)。
本来は、ジプシー・ミュージックとは文化を異とするのですが、日本人からしたらバルカン系のかほりは一緒に聞こえてしまうかなと…。
この曲の何が素晴らしいって、逆説的ですが、全編ただよう「吹奏楽っぽくなさ」です。今までの吹奏楽曲にも民族音楽を題材にした作品は山ほどありますが、有名どころ、例えばアルメニアダンスやプスタなんかは、いかにも吹奏楽らしいというか、むしろ王道の響きですよね。
逆に、この作品は、オーケストレーションを薄くしてソロを多用し、アコーディオンを用いたりチューバをスーザフォンでもよい、と指示したりして、サウンドを変化させることに情熱をそそいでいるのが見て取れます。(しかし、樹脂スーザは使わない方がいいですね(笑)。せめて金属製、出来ればヘリコンバスが用意できれば最高ですが、普通無理だと思いますので、おとなしくチューバで吹くのが無難かと。)

編成はちょっと大きくて、ダブルリードが欠かせなかったり、サックスがソプラノを含む5管だったり、コルネットが必要だったりします。しかも、それぞれに重要などソロがある(アコーディオンにも!)ので、とっつきにくい感もあるかもしれませんが、逆に、ソロを受け持つ楽器以外はそれほど難しくありません。演奏会のサブメインにぴったりな作品なので、プレーヤーに技術の差がある社会人バンドなら、案外といい結果になるのでは、と思いますがどうでしょうか。


さて、今回のレビューはこんなもんですが、そのうちおもろい楽譜と出会ったらその時また。うちのバンドが毎年作品を委嘱しているので、その紹介もいいかもしれません。きっとどこかのマニアックな高校生あたりには役立つかもしれないので、シリーズは続けていこうかな、と思っています。