新レンズ(シグマ17-70)と蛍@はままつフラワーパーク
昨年9月末にも訪れたはままつフラワーパーク。ちょうどヒガンバナの季節で、とっても綺麗でした。しかしその時はもう秋の始まりということもあり、咲いている花の種類はそう多くはありませんでした。
花といえばやはり春~初夏、桜やチューリップも綺麗だそうなのですが機会がなく訪れられなかったので、バラが終わる前に!と思い立ち急遽(強行スケジュールでしたが)妻と行ってきたのでした。
バラ園はとてもたくさんの品種のバラが咲き誇り、大変綺麗でした。この日は天気もよく、17時半を回っていましたがまだまだ明るかったです。
そうそう、実は新しいレンズを導入しました。
初めてのサードパーティレンズ。シグマの簡易マクロ標準レンズです。
本当は純正のDA16-85が欲しかったのですが、値段と解放F値に負けてシグマに手を出してしまいました。
やはり解放が明るいとファインダーを覗いた時の気持ちが全然違うんですよね。
写りの方も、今までのキットレンズ(DA18-50)と比べるとずいぶんあか抜けたものになりました。
というわけでマクロもどきなんか試したりして。最大撮影倍率1:2.8のクウォーターマクロなのですがAPS-Cなので換算1:4.3、ほぼハーフマクロです。テレ端のワーキングディスタンスは5.52cmだそうで(公式情報)、フードが当たりそうな距離まで近づけます。
広角端解放F2.8の明るさ、使いやすいズーム域で、キットより写りもはるかに向上し、寄れる。
こんなレンズが3万円台前半で買えるのですからありがたい。クイックシフトフォーカス(フルタイムマニュアル)無しとか、防滴無しとか、文句をつければいろいろあります。F2.8が使える焦点距離がじつはとても限られていたりすることもちょっと気になりますが、10倍くらいするような大三元レンズを買うことを考えればお買い得な代物と言えるでしょう。
アジサイもちょうど咲き始めのころ、とてもみずみずしく綺麗でした。
花菖蒲はまだちょっと早かったけれど、それもまた見に来たいなあ。
あえてゴーストを入れてみたり。
もうちょっと綺麗なゴーストがでたらよかったのにな(笑)
こういうフリンジやゴーストも表現に使えるようになりたい。
バラは本当のところちょっとピークを過ぎていたようで、枯れた花も多々。
あえてどアンダーで狙ってみた。
さて、実はこのフラワーパーク、ホタルを育成しているのですが、この日はちょうどホタルが見られる日。それもあって強行軍で訪れたのですが、すっかり日も長くなり、19時を回ってもなかなか暗くなりません。
月は出ましたがまだまだ明るさが残っています。
さらに待つこと約1時間、真っ暗になるとホタルが飛び始めました。
いやー、いつぶりだろう、ホタルを見るの。もしかしたら20年以上見ていなかったかも。儚くて、美しくて、それを妻と見るというのはなかなか幸せな時間でした。
…しかし。写真の方は、大苦戦(笑)。
まずですな、夜の撮影に慣れた方にとっては当たり前のことなのでしょうが、フォーカスが全然わからん!AFだと補助光が出てしまうので(この暗さならどの道無理な気もしますが)ホタルを刺激しないようにMF。しかし、当然ファインダーを覗いても真っ暗。仕方ないのであてずっぽうで距離を合わせ、被写界深度を稼ぐべくF22くらいまで絞って長ーいシャッターを何度も切りました。
しかし蛍は当然私の都合などかまってくれないので、シャッターを切ったときに限ってこっちへ飛んできてくれなかったりするんですねえ。まだたくさん写ったのがこの2枚というわけです。
星ともまた違う難しさもあり、思ったような写真は撮れずでしたが、まあ、とりあえず綺麗な思い出として心のシャッターは切ったので(笑)、今回はよしとしましょう。
ホタルのイベントは6月11日までです。浜松の方はぜひ。
SIGMA 標準ズームレンズ Contemporary 17-70mm F2.8-4 DC MACRO HSM ペンタックス用 APS-C専用 884611
- 出版社/メーカー: シグマ
- メディア: エレクトロニクス
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B級グルメスタジアム@エコパスタジアム
えー、昨日は妻と袋井市の静岡県小笠山総合運動公園エコパ、通称エコパスタジアムで開催されていたB級グルメスタジアムなるイベントを訪れました。
B級グルメスタジアム|エコパ公式ウェブサイト(小笠山総合運動公園ECOPA)
基本的に出不精な私たち夫婦、食フェス的なものは初体験。
こんな混んでるとはつゆ知らず…(笑)
うかつに車で来てしまったため、近くまで来てから駐車場に停められるまで1時間近くかかりました。おかげでハラペコ、ある意味食フェスには最高のコンディションで会場に到着。
今回の私たちは、「安いものをシェアして種類を食べる」というスタンスで臨みました。なので高くて時間かかって腹の膨れるラーメンなどは完全スルー。
ちなみに今回の写真は35mm単焦点一本勝負、トリミング編集一切無しのオール撮って出しです。(ただ荷物減らしたかったのと編集がめんどry)
まずはこれ。
大鍋からすくったものなので見た目があまりきれいではないですが、これ、「たまごふわふわ」という郷土料理なんです(笑)
ちょっと前に静岡ローカル番組「しょんないTV」で見て以来、一度食べたかったこの「たまごふわふわ」。お味の方は、出汁が効いていて、文字通りふわっふわの食感でなかなかおいしかったです。ぜひお店でも食べてみたいものです。
その他、ダイヤモンド富士という名の半熟卵入りコロッケなど。ある意味想像通りの味なのですが、想像通りウマイ(笑)。
他にも桜風味の皮に包まれた餃子だの、地元高校生が焼いた青のり入りお好み焼き的なものだの、モツから揚げだの、あれこれ頂きました。あまりにいい陽気だったのでビールが飲みたかったものの、車で来ていたのでノンアルコールビールなんぞも嗜みつつ。
ピエロもいたり
五郎丸がいたり。これは芸人さんではなく普通にエコパに立ってる銅像です(笑)。
5月とは思えぬ陽気のなか、鉄板系をしていた店の方はさぞかし暑かったことでしょう。でもこの笑顔、素敵でした。塩ハラミ焼きも美味かったですよ。
そんなこんなで結局2時間近く買い食いを堪能したわれら夫婦、なかなかいい休日を過ごせました。またこのテのイベントにも来てみたいと思いましたとさ。
「おんな城主 直虎」の舞台にもなっている井伊谷を探訪する
現在放送中の大河ドラマ、「おんな城主 直虎」。
浜松が舞台となっていることもあって妻と毎回楽しみに見ています。
もう一か月以上前のことになってしまいましたが、井伊家が治めていた井伊谷へ遊びに行ってきました。
ドラマで毎回登場する(もちろんセットで、実際にロケをしていたわけではありません)龍潭寺を中心に見てきました。立派な門をくぐると本堂が見えます。
このあたりは普段とてものんびりした場所なのですが、大河ドラマ館もオープンし、かなりの賑わいを見せていました。
季節はちょうど梅のころ。境内には梅がとてもきれいに咲いていました。竜ヶ岩洞のちかく(ちょうどドラマに登場する奥山氏の領地あたり)に行けば梅の名所もあるようですがこの日は行けず。
庭園は国指定文化財名勝記念物に指定され、見どころとなっています。縁側には座布団が設置され、のんびりと眺めることもできます。南渓和尚もここから庭を眺めたのかなあ。
龍虎が向かい合うふすまをはじめ調度品も大変立派なもので、ちょっとした美術鑑賞もできました。
場所を変えて井伊谷宮へ。龍潭寺のすぐ隣にあります。
こちらは井伊家とはそれほど関わりがなく、大河ドラマの時代からさかのぼること200年以上。南北朝時代に宗良親王がこの地を治め、またこの地で亡くなったと伝えられることから祀られている神社です。
こちらにもとてもきれいに咲いた梅が。
駐車場には早咲きの桜もあって思わず駆け寄ってしまいました(笑)。二月でまだ寒かったのですが満開でした。
葉ボタンも綺麗だったので思わず撮ってしまいました。そういえば全然関係ないですが葉ボタンってキャベツの仲間らしいですね。通りで似ているわけですな(笑)。
続いては歩くこと10分弱、井伊家発祥の井戸を見に参りました。
ドラマでは山奥にあり、幼馴染たちの集う場所として描かれていますが、実際はこのように田んぼのど真ん中です。
ドラマを見ていればこそ感慨もありますが、井伊家になんの思い入れもない人が見たら単なる謎の井戸だと思います(笑)。
しかし私と妻は、ここで次郎は先祖にお参りをしたのだなあと妄想たっぷりに見学させていただきました。
ドラマでもよくみかんが添えられていますが、実際の井戸の脇にもみかんが植わっています。この風景は浜松ならではですね。
そのあとは近所のケーキ屋に寄って、店内でおいしく頂いてから帰りました。
さて、ドラマの直虎は現在急展開で目を離せませんが、このまま年末まで楽しませてもらえるといいな。今後もイケメンキャストが出てくるようですので妻は楽しみにしているようです。
個人的には菅野よう子さん手掛ける音楽もたまりません。先日の定期演奏会でおそらく吹奏楽版初演という形で演奏させていただきましたが、この後もいっぱい演奏することになりそうです。
せっかくですので地の利を生かしてドラマを思いっきり楽しんでいきたいですね。
【曲目解説】ジェラルド・フィンジ:クラリネット協奏曲【夫婦共作】
先日、大阪府内某所にてアマチュアオーケストラの演奏会があり、そこに参加していた妻がプログラムノートを書くことになりました。
ニューグローヴを調べたりと色々頑張っていた妻ですが、結局わたくしも手伝う羽目に(笑)。
夫婦で夜中までかかって曲目解説を書いたので、せっかくですからネットにさらしてみます。以下曲目解説。
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ジェラルド・フィンジ:クラリネットと弦楽のための協奏曲 Op.31
「クラリネット協奏曲といえば?」という質問には、モーツァルトかウェーバーのそれを連想する人がほとんどではないだろうか。「フィンジ!」と答える人がいたとすれば、おそらくクラリネット吹きかイギリス系クラシック音楽マニアのどちらかだろう。
ひと昔前の音楽辞典にはフィンジという項目がなかったほどのマイナー作曲家。しかし、フィンジの音楽には霧がかかったような孤独な響きの中に、一筋の光のような美しさがあり、一度聴いたら癖になる魅力がある。CD録音も演奏機会もあまりないため、本日の演奏会に来てくださったお客様は大変ラッキーである。
- フィンジの人生
ジェラルド・ラファエル・フィンジは1901年、ロンドンにてイタリア系ユダヤ人の家庭に生まれる。まだ幼いころに父や兄弟を亡くし、さらに初めて音楽教育を受けた作曲家のアーネスト・ファーラーも第一次世界大戦で戦死してしまう。若いころに大事な家族や恩師を亡くしたことは、彼の人生観や作風に影響を与えている。
ファーラーの死後は、オルガニスト兼合唱指揮者のエドワード・ベアストウに師事し、1922年にグロースターシャー(ヴォーン=ウィリアムズの故郷)に移住してから本格的に作曲活動を始めた。この頃は個性的な作品が生まれており、「セヴァーン狂詩曲」ではカーネギー賞を受賞した。
1925年、ロンドンに移住後は、G.ホルスト、A.ブリスなどのイギリスを代表する若手作曲家との出会いがあった。ヴォーン=ウィリアムズとは特に親しく、ロイヤル音楽アカデミーでの作曲の講師の仕事を斡旋してもらった。
1933年に画家のジョイス・ブラックと結婚したのを機にロンドンを離れ、作曲活動とリンゴの栽培をしながら生活をしていた。彼の代表作である「ディエス・ナタリス」やトマス・ハーディの詩による一連の歌曲集はこの時期に生まれている。第二次世界大戦の勃発により初演が遅れてさえいなければ、彼の名声はもっと高まっていたかもしれない。
1939年にはハンプシャー州のアッシュマンズワースに移住した。リンゴ栽培に精を出す傍ら、ニューベリー・ストリング・プレイヤーズというアマチュア合奏団を作り、若手演奏家・作曲家たちの発表の場の提供にも寄与した。この頃から創作活動がさらに充実し、多くの合唱曲やクラリネット協奏曲などが作曲された。
そんな中、1951年にフィンジは白血病にかかり、余命10年と宣告されてしまう。余命宣告後に作曲されたチェロ協奏曲は、その悲痛な感情と妻への愛情が込められた大曲である。死の直前にはヴォーン=ウィリアムズと人生最後の旅に出ており、そこで聞いた教会の鐘の音は「平和の地 In terra pax」という作品の中で使われている。1956年、白血病に伴い抵抗力が弱まったことが原因で感染症にかかり、死に至った。
余談ではあるが、フィンジの息子の妻はチェリストのジャクリーヌ・デュプレの姉であるため、フィンジとデュプレは親戚関係と言える。
- フィンジとリンゴ
前述の通り、フィンジは結婚後に田舎暮らしを始め、リンゴの栽培を始めた。イギリスはリンゴの名産地であり、日本人の約2.5倍も年間にリンゴを食しているというデータまである。イギリスのリンゴの特徴は、日本のリンゴより一回り小さく、品種が豊富なことである。フィンジは、希少な品種のリンゴを栽培することを趣味としており、彼が育て上げたリンゴはなんと400種にも及んだ。育てたリンゴのサンプルは、園芸協会(現National Fruit Collections)に送りつけられていたようだ。Baxter's PearmainsやHaggerstone Pippinsというリンゴの品種はフィンジの果樹園が起源とされている。フィンジがリンゴ栽培をしていなければ、それらは今では食べることができない品種であったかもしれない。
- フィンジのクラリネット協奏曲
第一楽章 Allgero vigoroso
半音の悲劇的な衝突が印象的な序奏に続き、クラリネットがハ短調の物憂げな旋律を奏で始める。楽章を通しておおむね短調ではあるが、短調の性格を決める重要な音が省かれたり変化させられたりしており、それ故に悲しみは常に内向的である。主部は二つの主題を行ったりきたりするABABAという構造を持ち、曲が進むたびにその調を変えていく。やがてハ短調の属和音にたどり着き、短いカデンツァとコーダを経て幕を閉じる。
第二楽章 Adagio ma senza rigore
三部形式による緩徐楽章。序奏に続く第一の部分は、弦楽の旋法的な響きの中でクラリネットが即興的なフレーズと息の長い歌を奏でる。第二の部分は第一楽章のモチーフが三拍子の中で劇的に展開される。興奮のクライマックスで第一の部分が再現されるが、やがて静まっていき、平和な響きの中に溶け込んでいく。
第三楽章 Rondo - Allgero giocoso
弦楽器による序奏は嬰ハ短調に始まる不安定な響きだが、すぐに開放的なメロディがクラリネットによって奏でられる。これまで曲を覆っていた雲が晴れたようなハ長調の主題は、大変印象深いものである。ロンド形式のセオリー通りに、この開放的な主題の間に挟まれて性格の異なる部分が三つ顔を出す。第三の部分では第一楽章を回想するが、長くは続かず再び明るい響きに帰っていく。
クライマックスでは、息の長い超絶技巧が素早く去っていくので、お聞き逃しなく。
1949年、クラリネット奏者のフレデリック・サーストンにより初演された。彼は王立音楽大学で教鞭を執っていたが、生涯最後の年に生徒のシア・キングと結婚する。彼女は、この協奏曲の代表的な録音を残している。
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こういう解説を書くときは、どうやって極力専門用語を使わないようにするかが悩ましいものです。今回も、一楽章の「短調の性格を決める重要な音が省かれたり変化させられたりしており」は本当は「主和音が第3音を欠いたり、導音にあたる音が半音下げられ属和音の性格を弱められている」と書きたかったところです。
二楽章のところでも、「弦楽の旋法的な響きの中で」などお茶を濁していますが、この楽章においては「短調に近い響きの箇所はフリジアン・ドミナント(ハーモニック・マイナー・パーフェクト・5th・ビロウ)を、長調に近い響きの箇所はミクソリディアを指向するメロディを調性からあまり逸脱しない範囲の中で和声付けしている」というようなことを書きたかったのですが、長くなるうえに一般のお客様にはさっぱりわからんと思ったのでばっさりカットしました。
しかし、こういう信頼のおける資料の少ない作品の曲目解説を書くのは大変ですが、勉強になって楽しいですな。ちゃんと楽譜読まなきゃ!ってなるし。
機会があればまた挑戦しよう。
(マイナー作曲家の解説だと、たまに辞典でもトンでもない誤訳が載っていたりするので比較検証しなきゃならないんですけどね。今回も、某音楽大辞典(ニューグローヴではないですよ)に「セヴァーン狂詩曲」が「七つの狂詩曲」として訳されて載っていて、びっくりでした。それじゃあ「Severn Rhapsody」じゃなくて「Seven Rhapsodies」でしょうよ(笑)
イギリス音楽の研究しているのにセヴァーン川も知らなかったのでしょうか?)
以下参考音源など。
- アーティスト: Gerald Finzi,Howard Griffiths,Northern Sinfonia
- 出版社/メーカー: Naxos
- 発売日: 1999/01/19
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一番手に入りやすい録音はこちら。演奏もよいです。同じくクラリネットソロのバガテルの弦楽伴奏版や、若いころの出世作セヴァーン狂詩曲などが聞けます。
先日亡くなった名匠ネヴィル・マリナーの棒とその息子アンドリューのソロで聞ける一枚。弦楽の統率はさすが。違う演奏家ですが、日本におけるフィンジ受容に一役買ったピアノと弦楽のためのエクローグも収録されています。
Clarinet Concerto Op 80 / Clarinet Concerto Op 31
- アーティスト: Philharmonia Orchestra,Charles Villiers Stanford,Gerald Finzi,Alun Francis
- 出版社/メーカー: Hyperion UK
- 発売日: 2001/07/10
- メディア: CD
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上述のシア・キング女史の演奏で聞ける。少々野暮ったくも聞こえますが、曲に対する共感を感じる演奏。カップリングはフィンジにとって師匠の師匠にあたるスタンフォードの協奏曲。こちらはかなりレアな録音です。
バンド維新2017
浜松市民を丸5年やっている僕ですが、この度初めてバンド維新のコンサートを聴いてきました。
正直行くかどうしようか迷っていたけれども、職場に招待が来たので行ってもいいかな、と思い立ったのでした。
結果としては行ってよかった!本当に。今年は10周年ということもあって、本当にビッグネームの作曲家ばかり。作品も、例年以上に質が高かったように思います。
バンド維新とは、かれこれ10年は続く吹奏楽のイベントで、毎年著名な作曲家に吹奏楽作品を委嘱して初演しようという意欲的な内容。
公式ページはこちら。
これまでも、デモCDをわが社の中央音楽隊が担当しているので毎年録音ではさらっと聞いていました。しかし、聞いていたのは楽譜が届いて数日で録音している大人の演奏。
コンサートで演奏しているのは浜松近郊の中・高校生です。ここが大きく違いました。
当然、空音も職業演奏家ですから、ある程度以上の技術を持って演奏しています。
しかしどうしても中・高校生とは一曲にかけるエネルギー的なものが全然違うんですね。今日はそれをとても感じる演奏会になりました。
5年前までは、僕も一般バンドの指揮をやっていたので吹奏楽コンクールに触れる機会もあったけれども、最近はそういう場から離れてしまって、「曲をこなす」という感覚で演奏していたように思います。いい意味でのアマチュアイズムというか、「1音入魂」的なエネルギーは失われていたというか。
特にスクールバンドは、その部活で活動できるのはわずか2年半。本番の数も大小あわせてたかだか年間10回~15回程度でしょう。当然、一つ一つの本番に青春特有のまっすぐなエネルギーが注がれるわけで、演奏も上手い下手問わず熱いものになる傾向にあります。
それに、今日出演していたバンドはいずれもコンクール強豪校と呼ばれるような学校で、私の出身校とは比べもつかぬほど素晴らしいところばかりでした。
以下一曲ずつレビュー。
中橋愛生「風のファンファーレ ウインド・アンサンブルとフレキシブル・バンドのための祝典音楽」はフレキシブル編成に対する提言の一曲。
昨今少子化から「この音域の楽器なら何で演奏してもええよん」という指定の6パート+打楽器みたいな楽譜が多数出版されています。
でも、それだと各楽器の良さも出にくいし、演奏技術的にもどの楽器でもできるようなパッセージばかりになってしまいがち。そこで、この作品では楽器が指定されているソロパートと、金管楽器で割り振る3パート、木管楽器で割り振る3パート+打楽器、ピアノという編成。15人くらいいれば演奏できそうですが、よく考えられた書法です。
作風としては「科戸」をもっと平易にしたようなわかりやすく効果的なもの。これはスクールバンドに受けそうだなあ。
合唱の世界で有名な松下耕の「Resurrection for Wind Orchestra」は短い6部からなる交響詩的な作品。今回の中では、意外にも一番吹奏楽らしい作品だったかも。
この作品に関しては、もう少し余裕というか、展開の急さをカバーできる演奏で聞きたかった感もありましたが、第5部にあたる美しいコラールが印象的でした。さすが合唱の人、と思っていたら自作の男声合唱曲からの引用なんだとか。納得。
服部克久「希望の世界を目指して」は本人曰く楽しいマーチ、とのことでしたが、ドキュメンタリー番組のテーマソング的な作品。少々一般的な吹奏楽のオーケストレーションとは違い、独特の明るく軽いサウンド感でしたが、なにぶん中学生にはすこし荷が重かったかも。
海の星高校の演奏した西村朗「秘儀Ⅳ<行進>」は圧巻でした。すさまじい集中力、もちろん多少のポロリはありますが、そんなことどうでもいいくらいにこの作品の本質を掴んだ演奏。西村作品らしいカオスと、すこしネリベルを思わせるようなモーダルなハーモニーと打楽器のパルス。そして最初から最後まで一貫して続くアッチェレランド。現代的な作品ですが、会場は興奮していたと思います。
宮川彬良「現代吹奏楽画報」は、意外なほどマジメな作品。もちろんポップス的なハーモニー、ポップス的なリズムを用いながらも、宮川さんなりに吹奏楽と真っ向から向かい合った作品なのでしょう。楽しい作品ですが、たとえば「ファン・ファン・ファンタスティコ」といったようなミュージカル的作品をイメージすると全く違った内容に驚かれるかも。開成中学校、さすが全国バンドですな。中学生とは思えぬ鳴りっぷりでした。
2014年に初演された真島敏夫の「月山ー白き山ー」も素晴らしい演奏でした。浜名高校は、3年前にその作品を初演したバンドだそうで。当然メンバーは入れ替わっているでしょうが、「これは自分たちの曲だ」という思いにあふれたものでした。(本来なら山形の出羽三山をテーマに三部作として作曲される予定で、本日は第二作が演奏されるはずでしたが、昨年真島さんが亡くなられたために叶いませんでした。)
真島敏夫らしい完成されたオーケストレーション、おしゃれなハーモニーと日本的ペンタトニックの融合、構成の妙味はさすがの一言。これ山形の仕事あったら使おう(笑)
池辺晋一郎「石は主張するー吹奏楽のために」は、極めてストイックな曲想と、独奏ユーフォニアムのテクニカルなモノローグで独特の印象を与えてくれました。なんとも、池辺作品らしい響きでしたが、出番はあまり多くないのに、このためだけに外囿さん呼んだのはめちゃ贅沢ですね。この曲も面白いのだけれども、正直演奏はされないだろうなあ。難易度が高いのにあまり派手さはなく、そして独奏ユーフォニアムはアマチュアには演奏困難ときたら、取り上げたくてもなかなか、というのが実情のような。演奏した光ヶ丘女子は、唯一の浜松以外からの参加でしたが、東海地区の強豪だそうで、難しい曲にもかかわらず丁寧で危なげない演奏。さすがでした。
最後に演奏された北爪道夫「虹のある風景」は津軽三味線と吹奏楽の作品で、ある意味今日一番現代的な作品だったと思います。三味線と吹奏楽はかみ合うようなかみ合わないような状態のまま、でも確かに影響しあいながら進んでいくという、北爪さんらしい内容。三味線という、ノイズを音楽的に用いる楽器をソロに用いており、久しぶりに「風の国」のエッセンスを感じました。でも吹奏楽の語法はより調性的で、浜松商業の素晴らしいサウンドも手伝って大変美しいものでした。
閑話。
ここからは、ひたすらわたくしの独り言です。
さて、吹奏楽の世界は日々新作が生まれており、その新陳代謝はとても素晴らしいものだと思います。
管弦楽も当然新作は次々に生まれていますが、委嘱され初演された作品が再び取り上げられる機会はそう多くないのが現実。30~40年前に比べ「前衛」一辺倒でなくなり、レパートリーとして取り入れられつつある現代作品も増えてはいますが、あまりに偉大すぎる過去の作品群(しかもあまりに膨大)があるために、なかなか取り上げてもらえません。
それに引き換え吹奏楽は歴史が浅く、マスターピースと呼べる作品もそう多くはないため、面白い曲が生まれればすぐに定番として数年で知れ渡ります。コンクール全国大会で演奏されようものなら、あっという間に翌年にはあちこちのバンドが取り上げるのです。
しかし、これは以前からさんざんいろんな人が言っていることですが、日本の吹奏楽の世界はあまりにコンクール主体で動きすぎています。生まれてくる作品は10分前後のものがほとんど。なぜなら、9分を超えるとコンクールではカットしないと演奏できないからです。もちろん複数の楽章で構成された20分程度の作品も生まれてはいますけどね。
そんな中、吹奏楽のオリジナル作品で、「後世に伝えるべき傑作」はどれくらい生まれているのだろう、と疑問にも感じます。一時のはやりとして消費され、消えていく作品が多いのではないだろうか?とも。
もちろん管弦楽の作品も当時は最新の語法で書かれ、人々の心に残ったものだけが伝えられてきたから名曲ばかりに感じるのであって、あまり大したことのない作品も数多くあったことでしょう。しかし、現代の吹奏楽は、やはり「商業ベースすぎる」と感じなくもないのです。儲からなければ続かないのだから、難しいところですけどね。
あらゆるスタイルの音楽を節操なく演奏でき、卑近であっても効果の高い曲をやるのが吹奏楽なんだからいいんだよ、と言ってしまえばそれまでなんですが、やっぱり吹奏楽を仕事にしていると、もうちょっと自分たちが感動できるような作品を演奏したいなあ、と常々思ってしまうわけです。私たちの仕事に求められている内容からして、なかなかそういう曲を取り上げるのが難しいということもあるんですけどね。
吹奏楽にも傑作はたくさんあります。ホルスト、ヴォーン=ウィリアムス、ヒンデミット、ミヨーなどの名だたる作曲家の作品もあるし、リード、バーンズ、スパークなどの吹奏楽の世界では知らぬものなしの作曲家も素晴らしい作品を書いています。フサやシュワントナーなどの現代作曲家の作品もあります。もっと言えばイサン=ユン、ケージやクセナキスの作品もある(それが名曲かどうかの議論はとりあえず置いておきましょう(笑))
しかし、たとえばロマン派の大作曲家のシンフォニーのような作品があまりに乏しい。それは語法とかではなく、精神性、という意味で。
バーンズの三番は吹奏楽の歴史に燦然と輝き、なんならどっかのオケ定期のプログラムに乗せても遜色ない作品だと思っています。しかし、どこの吹奏楽団も、ここぞという時はこればっかし。他のシンフォニー、ないの?と思ってしまいます。発売されるCDも、「コンクール自由曲選!」とか、実質出版社のデモCDであるとかが多数をしめ、プロの吹奏楽団も同じ曲の録音ばかりが多く以前の佼成出版のような意欲的な内容のCDはめったに見られません。
そういう中、スクールバンドを対象にし、短い作品ばかりではありながらも、様々なスタイルで実験的な試みを続けいているバンド維新というイベントはとても貴重なものだと思います。やはりそれは行政が金を出しているからできることなんでしょうね。
中にはマンネリをささやく声もありますが、やり方なんてまた考えればいいんです。
なんだったら2年前から20~30分くらいの作品を3人に委嘱するような試みをしたっていいわけですから。うむ、個人的にはそれ聞いてみたい(笑)。
なんにせよ、来年は一回休むそうですが、せっかく浜松に住んでいるのだから、今後も聞きに行きたいなあと思った次第でした。
インターバル合成
自分のカメラにせっかくついている各種ドライブモード。連射くらいしか使ったことがないのでひとつ試しにインターバル合成をやってみました。
被写体はプラハのホテルで買った土産物の時計。市内にある時計台をモチーフにしているものです。
秒針が何本も見えるのがおわかりでしょうか。
これはストロボを使用して暗めに撮ったものを「加算」で重ね合わせています。
明るく撮って「比較明」にすると、文字盤が白いところは針が消えてしまってダメでした。「平均」にすると針が薄くなりすぎる。となると「加算」しかないな、と。
ストロボの連射スピードがあまり速くないのと、カメラの機能としてインターバルが2秒より短くできないのでこのような間隔のあいた秒針になってしまいました。
今の技術と機材やとこの程度の写真しか撮れず。もっといいアイデア、ないかなあ。
photoshopはまだ全く使いこなせていないのですが、明暗ではなく特定の色について濃いところを選んで合成する、みたいな機能があればもっとはっきりと秒針が写るのかも。
まだまだ勉強不足です。
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